昨日は久しぶりに"マルクス兄弟"の映画で何か新しいものは、と検索した。
すると、知らない次のサイレント映画がヒットした。
その解説に「
この作品の鏡のギャグも……マルクス兄弟が拝借している 」と
それなら確認せねば……
それで早速視たら、なかなかのストーリーだった。
全部は視ていないけれど、導入部の大事なシーンとして、鏡のギャグが位置づけられている。
★「七年の不運」1921年 ニコニコ動画
「マックス・ランデ(仏):最初の世界的コメディアンであり、世界一有名な映画スターでもあったが、WW1時の徴兵で従軍中に人気は急落。除隊後アメリカに渡り再起を目指すが叶わず、従軍中に受けたとされる精神的障害(うつ等)の悪化もあり、この作品の4年後自殺する。
スラップスティック・コメディの草分けマック・セネットやチャップリンら後進に大きな影響を与え、この作品の鏡のギャグもチャーリー・チェイスやマルクス兄弟が拝借している 。なのであって、翻訳に細かいこと言わないよろし。」
(※2分割の1で、5分少し前に鏡が割れてから、「鏡のギャグ」シーンが始まる)
(※15分近くまで続くが、百年も昔の映画なのに面白い)
https://www.nicovideo.jp/watch/sm18877800 約31分(2の1)
https://www.nicovideo.jp/watch/sm18877842 約31分(2の2)
有名なマルクス兄弟「我輩はカモである」(1933)で「鏡のギャグ」シーン 今から、30年ぐらい前に、札幌市内の色んなレンタル・ビデオ店で
マルクス兄弟とバスター・キートンの映画を捜したけれど、
複数在庫していたのは、たったの1軒だけだった。
当然ダビングしたけれど、それらは引っ越しダンボールの中
その当時と状況はそんなに変わっていないから、
ネットにアップされている昔の喜劇は増えたけれど、
マルクス兄弟を知らない人は今も多いだろう。
私だって、中原弓彦名義『世界の喜劇人』(晶文社)を読むまで、マルクス兄弟を知らなかったから。
"有名な"ではなく"知る人ぞ知る"マルクス兄弟と言うべきかな
★The Mirror Scene - Duck Soup (7/10) Movie CLIP (1933) HD
https://www.youtube.com/watch?v=VKTT-sy0aLg VIDEO このマルクス兄弟の鏡のギャグに触発されたのでは… と当時感じたのは、かなり昔の全日本仮装大賞の作品だった インパクトのある作品だったという記憶だけは残っている 。
YouTubeにアップされていないかと探したが、
それらしいものは見つからない。
似た傾向の鏡の作品では次のものがあったけれど…違う ★全日本仮装大賞/体育館の鏡 (第56回/1999年優勝)
https://www.youtube.com/watch?v=glwxiSD-hNE VIDEO ★全日本仮装大賞/学校の鏡 (第66回/2002年優勝)
https://www.youtube.com/watch?v=QWChMBc_Jwk VIDEO そこで過去の全日本仮装大賞の作品をチェックしていたら、
やっとそれらしい作品が見つかった。 第27回1989年5月27日 三面鏡 19点 第3位 この動画は見つからないので、更に検索したら
★「欽ちゃんの仮装大賞」で…(印象に残っているパフォーマンス)**Girls Channel
https://girlschannel.net/topics/132832/ (8/24追記:↓2014年の掲示板書き込み↓)
51「
忘れられないのが三面鏡?だったかの鏡のネタで最初女性が鏡に向かっていろいろしてる。と、男性が登場してすつたもんだする。その状況がホントに鏡がその角度に置いてあるようなパフォーマンスで度肝をぬいた 。
当時(だいぶ昔)こういうタイプのはなくてダントツ優勝していた。
今でもユーチューブとかで見られるものなら見たい。」
※動画がネットには無いから確認できないけど、
1989年の「三面鏡」がマルクス兄弟の映画にインスパイアされた作品だとしておこう。
今度は鏡のギャグシーンを収録する「我輩はカモである」で検索
★『我輩はカモである』(Duck Soup/1933年)**映画ランナー -その映画を徹底的に知りたい人へ-
http://eigarunner.blog.fc2.com/blog-entry-56.html 「■鏡のギャグ
誰もが見覚えのある「鏡のギャグ」。そこに鏡があるかのように登場人物の一人が鏡に映った人物のフリをするというギャグである。日本では「8時だよ!全員集合」で志村けんと沢田研二がコントでやっており、ドラマ「X-FILE」でも、『1408』でも使われている。探せばもっともっとあるだろう。それの元ネタはこの『我輩はカモである』だ…と言いたいところだが、実は違う。
この「鏡のギャグ」の本当の元ネタは『The FloorWalker』というチャップリンのサイレント期の映画であり、マルクス兄弟も他の映画からネタを拝借していたのである 。」
※1916年の作品で邦題「チャップリンの替玉」(別題に『チャップリンのエスカレーター』)
★The Floorwalker (1916) Charles Chaplin, Eric Campbell, Edna Purviance, Lloyd Bacon
https://www.youtube.com/watch?v=opzMXjHOiwA VIDEO ※10分頃から、似た顔の二人が出遭って驚きお互いに同じような動きをするシーンがあり、上着を取り換えて入れ替わる展開となる。
肝心のアイテムである「鏡」は出てこないし、
「The Floorwalker」のシーンがヒントになったとしても、
ヒラメキのアイデアによる「鏡のギャグ」では、かなり飛躍したものになっているから、
マックス・ランデ「七年の不運」(1921)が、映画では源流にふさわしいと思う。
例えば、喜劇舞台やサーカスでのピエロたちのコントとか
元となる源流が映画の前にあっても何ら不思議では無いし。
「鏡のギャグ」はマックス・ランデに始まり、マルクス兄弟らが磨き、
それは連綿と続き、全日本仮装大賞で挑戦する人たちが今も新たに居る。
(それも仮称「三面鏡」にインパクトがあったからこそ……)
この映画「七年の不運」を視たのは初めてだし、
マックス・ランデというコメディアンも初めてだった。
サイレント映画に詳しい人ならば…
一番詳しい小林信彦『世界の喜劇人』ならば、
「鏡のギャグ」の系譜についても書いてあるのだろうが、
引っ越しダンボールに入ったままなので、確認もできない。
これを再読する機会があった時に…また…
今年の4月に「落ちちゃった」でブログ記事を書いた。
これが仮装大賞でのインパクト1位だとすると
ダブル表現だが仮の措定名称「三面鏡」は「落ちちゃった」に次ぐレベルの印象だった。
誰か「三面鏡」をYouTubeにアップして!!!! ◎懐かしい1995年仮装大賞「落ちちゃった」→マジック「落ちる頭」《4/5追記》蛯名健一『RoboMatrix』など**2019年04月04日
http://yumenoya.seesaa.net/article/464980293.html --------------------------------------------------------
《追記》
"マルクス"というと読んだことはないけど「資本論」が浮かぶ。
というか、それしか思い浮かばなかった時に、
喜劇の役者に同名のマルクス兄弟がいるんだよ、
と最初に教えてくれたのは、筒井康隆さんかも知れない。
筒井さんの小説は追いかけたけど、映画評論はあまり読まなかったが……
小林信彦(中原弓彦)さんの「世界の喜劇人」には、
あの映画には、こんなシーンがあってさ、と詳しく解説してもらい想像していた。
もともと笑芸人には関心があったので、ほぼ同時期に「日本の喜劇人」も読み、
笑いのセンスでは、小林信彦がピカイチだと、笑芸関係を追う内に
気が付いたら、小林さんの小説も読むようになっていた。
"笑い"の評価でズレを感じるようになったのは、
私の関心の無かった素人出身コンビの時からだ。
暦も変わり酔って来たら、その名前も出てこない。
看板の番組も持ち、ずっと活躍し、
小林さんはデビュー当時から着目し、評価が高かったけど、
私は二人のテレビ番組をあまり視たいとは思わないまま今に至る。
昔は追いかけたテレビの"笑い"番組も こっちが、もはやテレビそのもののと無縁となってしまった…
ネットニュースによると、看板番組は既に消えたらしい。
もともと関心が無かったコンビだから、
少し酔うと、名前も浮かばないのも当然だ。
小林信彦さんの鑑識眼・センスに対する評価は断然なので、
芸能と映画とでは、今もエッセイ集が気になっている。
話題を少し変えて、アニメのギャグだと、
真っ先に浮かんだのは、森卓也「アニメーションのギャグ世界 (1978年)」
"定本"版が出版されていることは、今アマゾンを見るまで知らなかったけど、
映画の役者編は小林信彦「世界の喜劇人」
アニメ編は森卓也「アニメーションのギャグ世界」
手塚治虫さんにも、ギャグを散りばめた実験アニメがあった。
昔は実写では表現できなかったことも、
だからアニメならばできたこともあった……
昔は「特撮」…途中は「SFX」…そして今は「CG」
全日本仮装大賞も変わりましたねー
演ずる技術がどんどん進化しているから
それに対応して、それを収録し編集して放映する形にまとめるのも技術
何が最初だったのかは、もう判らないけど
360度の全方位から工夫の熱気・動きを、テレビ用映像としてまとめる
それが相まってテレビ放映するレベルにまでになった。
魅力のある可笑しい「鏡のギャグ」
仮装大賞で「鏡のギャグ」に挑戦する人は、これからも続くのだろう
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《8/24追記》
マルクス兄弟の有名??なシーンをYouTubeから
最初にチコとハーポのピアノ連弾
★The Big Store - Piano Scene - The Marx Brothers
https://www.youtube.com/watch?v=pbUrsot6oeY VIDEO 次にハーポのハープ
★Harpo Marx Brothers
https://www.youtube.com/watch?v=GArbUV_yv2k VIDEO チコのピアノが10本らしい(上の連弾を含む)
★Chico Marx Playing Piano. 10 films!! Complete!! (good quality)
https://www.youtube.com/watch?v=amQ63EZfUMA VIDEO 最後は喜劇らしい笑える客室シーン、
4人兄弟だけでも狭い客室なのに…メイドなどがどんどん入り……
(追記:記憶によると、グラウチョ以外の三人は荷物の中に隠れて乗った密航者だったはず。これでOrdering Dinnerの場面が判るかな)
★Ordering Dinner and Crowded Cabin Scenes YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=PFu0KyrNAAA VIDEO オマケ このブログにふさわしい映像が見つかった
あのルーシー(ルシル・ボール)とハーポとによる鏡風シーン オチも有り
(「ザ・ルーシー・ショー」かな その前の「アイ・ラブ・ルーシー」らしい)
★Lucille Ball and Harpo Marx the Mirror Routine
https://www.youtube.com/watch?v=79EnDc-Ucv8 VIDEO ※アイ・ラブ・ルーシー**ウィキペディアWikipediaによると
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%96%E3%83%BB%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%BC 「Harpo Marx (1955年5月9日放送): ハリウッド滞在中、ルーシーの友人キャロライン・アプルビーが訪ねてくるが、ルーシーにはセレブリティの知り合いがたくさんいると思い込んでいる。ルーシーとエセルがキャロラインの眼鏡を取り上げ、ルーシーは数々のセレブリティに成りすます。一方リッキーとフレッドはハーポ・マルクスをリカード夫妻の自宅に招く。彼が現れた時、ルーシーは彼の変装をしており、彼の姿を見てキッチンのドアに隠れる。彼が偶然ルーシーの姿を見て驚き、ルーシーが動きを完全に真似することができるか試す。
このエピソードはマルクス兄弟の『我輩はカモである』のハーポとグラウチョの有名な鏡シーンのトリビュートである 」
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《8/25追記》バスター・キートン
ブログには、まだ書いていなかったと思うけど、
今から30年も昔の話
新聞のテレビ番組欄の深夜放送の映画に"バスター・キートン"の名前を発見
「世界の喜劇人」を読んで、憧れていた"バスター・キートン"の長編をこの時に初めて視た
当然、ビデオに収録
感激のあまり、北海道のテレビ局UHBの編成局にハガキを出した記憶がある。(HTBかも)
深夜映画ということは、土曜の深夜放映だったと思う。
金曜ならば、居酒屋の二次会でスナックから戻りバタンキューのはずだから…
第二弾を期待してのテレビ局へのハガキだったけど、続く放映は無かった。
このビデオも引っ越しダンボール箱の中だけど
記憶にあるのは、「激流と滝」のシーン
ウィキペディアWikipediaによると
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%B3 それらしいタイトルは「荒武者キートン(キートンの激流危機一髪!)」
「荒武者キートン」には記憶があったので、検索したら
★荒武者キートン サイレント映画館
http://silentfilm.seesaa.net/article/155288645.html このサイトの動画で確認すると、長編のラストシーンが「激流と滝」
当時、バスター・キートンのサイレント喜劇映画を求めて
近くのビデオ・レンタル店を捜したが、有るのはチャップリンだけ
かなり経ってから、古本屋で見つけたCDが「キートン将軍(キートンの大列車追跡、キートンの大列車強盗)」だった。
それから、またかなり経って見つけたのが次のブログに
★“バスター・キートン”のサイレント映画を満喫**2005年12月15日
http://yumenoya.seesaa.net/article/394425517.html バスター・キートンの短編は上の3巻のビデオでかなり堪能したけれど、
今はかなりの長編も短編もYouTubeで満喫することが可能。
今日初めて知った上の「サイレント映画館」もある。
その意味で、マルクス兄弟の映画は、上で紹介したようなコマギレしか見つからない。
マルクス兄弟は"サイレント"時代じゃないから、著作権がらみなのだろうか??
チャップリンは、"ペーソス"の漂う長編ものの評価が高いけれど、
その前の時代にはスラップスティックの短編、ドタバタコメディだった。
その点、"ペーソス"を一切排除した、キートンの無表情の肉体派に徹した"乾いた喜劇"は特筆だと思う。
そんな意味で、マルクス兄弟は、無声時代の次のトーキーで、バカバカしい"ドタバタ"時代を築いた。
マルクス兄弟って、"ペーソス"とは一切無縁、だから"キートン"の乾いた笑いの系譜。
グルーチョの会話での連射砲(字幕では判読不能??)、長男のチコが居て、無言のハーポ
マルクス兄弟の映画を読み解くには
ポール・ジンマーマン、中原弓彦/訳「マルクス兄弟のおかしな世界」(晶文社/1973)が必要かな……
チャップリンの後期はペーソスの"ウェット"笑い、キートンはずっと無表情の"乾いた"笑い、
そしてマルクス兄弟はトーキー時代での饒舌&無表情の"醒めた"笑い…
今にも続いている喜劇とは一線を引く"異端な"流れがマルクス兄弟かな…
酔っぱらってから、ふと思った……(誰かが言ったのかな??)
(※この記事のジャンルは"映画テレビ"にしたけれど、追記の流れも"笑い"の方が相応しいようなので、ジャンル「笑い」に変更する)