2017年12月13日

◎アガサ・クリスティ「四人の容疑者」(短編集「ミス・マープルと13の謎(火曜クラブ)」より)、最近の読書から「半七捕物帳1」など、妄想セリフ/《12/14追記》別新訳では

この"ミス・マープル"シリーズを最初に読んだのはマープル初登場の「火曜クラブ」
去年読んだ「クリスティ短編集1」(新潮文庫)に収録の「火曜の夜のつどい」だった。
同短編集の「検察側の証人」については下記ブログに記した。
★アガサ・クリスティ「検察側の証人」&映画「情婦」・TVドラマそして戯曲は?***2015/08/30
http://yumenoyamemo.blog.fc2.com/blog-entry-55.html
巻頭の「検察側の証人」が気に入ったので、この短編集を拾い読みした。
二作目「うぐいす荘」も良かったけど、「火曜の夜のつどい」はそれほどでは無かった。
だから収録されているミス・マープル5作品で読んだのはこれ一作のみだ。

今年になって短編集「ミス・マープルと13の謎」(創元推理文庫)に取りかかった。
ベッドの中で読んでいるのだが遅遅として、あまり進まずにいたが、
やっと9作目「四人の容疑者」となった。
ベットには何冊もの文庫本などが積んであり、
一気に読み終えたいような本がなければ、色々な本の同時進行となる。
「ミス・マープルと13の謎」挑戦中に読み終えた主な作品は
●小松左京「題未定」(文春文庫)(すっかり忘れていたので再読)
●「アイリッシュ短編集3」(創元推理文庫)
●岡本綺堂「半七捕物帳1」(光文社文庫)
これは都筑道夫「新 顎十郎捕物帳」(講談社文庫)にハマった時から、
作者が、捕物帳の先駆であり、顎十郎はそのオマージュだと記していたので、
ずっと気になった作品だった。
顎十郎のような独特のキャラではないし、魅力的な脇役が居るわけでもない。
けれど語り口が素晴らしい。
小説から聴こえてくる半七の声は、最初から最後まで"長谷川一夫"でした。
昔テレビドロマで視たのでしょうか。だからなのか…
銭形平次だと大川橋蔵が真っ先に浮かぶイメージで、啖呵も似合ったのですが、
が小説の半七には派手な捕物シーンもなく、温厚な人物がとつとつと思い出を語るという形式で、
これと長谷川一夫とがマッチしたのだろうか。
調べると1966年から1968年にかけて2部を演じているようだ。
いわゆる捕物帳シリーズを読んだのは、顎十郎が初めてで、次がこの半七かな。
今度は図書館で借りて読むことにしよう。
●吉野源三郎「君たちはどう生きるか」(岩波文庫)
これは別途書くこととする。

話を「四人の容疑者」に戻そう。
最初この作品に読んだ時は、途中で眠ってしまった。
翌朝その続きに取りかかったのだが、
容疑者4人の名前が頭の中で整理がついていないのか、
コレは誰だったっけ、と名前で混乱していた。
だから前に少し戻るのだが、やっぱり判らなくなってしまった。
短編でも、伏線などを確認するために、戻って読み返すことはあるけれど、
容疑者の名前でこんぐらかってしまい、戻った記憶は浮かばない。
また寝る時に読み、そしてその翌朝、やっと読み終わった。

気付いたのだが、
殺されたのは、ローゼン博士
容疑者4人の一人がローゼン博士の姪でグレータ
小説のなかでは色んな表記をされている、
グレータ嬢、ローゼン嬢、グレータ・ローゼン
嬢と付くのは姪だけでは無い、食事担当のゲルトルートは老嬢というのもある。
他の容疑者も職名だったり苗字だったり色々なので、私は混乱したらしい。
私が少し耄碌した可能性は否定できないが…
今度は別の訳者で確認したいものだ。
原作がもしそうだとしても、
職名か苗字かが何かの作者の意図でないのならば、できるだけ統一して欲しいものだ。
それでなくとも、外人の名前って、すんなりとは記憶できないのだから…
訳本がもし敢えて統一したとしても、原作者(著作権者)は文句を言わないでしょうよ。
本筋とは関係ないのだから…
例えば秘書ならば"秘書テムプルトン"とするとか…
仕事内容もおおいに関係するのだから、
女中ゲルトルート、庭師ドッブスと…
困るのは苗字だけのとき、コレって秘書?女中?庭師?となった。
私の場合、困ったけど、1960年の訳が古過ぎるのかも…

上のような人物での混乱を除けば、
「四人の容疑者」はミス・マープル9作目で最高の評価です。
田舎を出たことの無いミス・マープルは身近で起きた冤罪のことを話す。
("冤罪"は大袈裟だが、あらぬ疑いで困る事は田舎でも起きた)
今回の謎事件の語り手は元警視総監のヘンリー卿
容疑者が4人居て1人が真犯人ならば、残る3人には憶えの無い冤罪となる。
ヘンリー卿は詳しい経過と手紙などの捜査資料を開陳し質問にも答える。
ミス・マープルは誰も気づかなかった些細なことを指摘し………

今回のテーマに冤罪があったこともあるけれど、
ローゼン博士殺しは博士が解体した秘密結社による犯罪だということと
恨んだ秘密結社からの秘密指令が犯人に届いたらしいがその方法も不明だ。

ローゼン博士がドイツを離れイギリスに亡命した背景と
殺人事件の謎と伏線とがうまく構成されていたので、
私の好みにぴたりとハマリました。
/△○◎の4段階評価で○評価です。(文庫の目次の頭にマークを記入、図書館のはペケですよ)
◎は滅多に無いし、○も少ないから、「四人の容疑者」は再読したい候補となりました。
今度は別訳で挑戦したい。

じっくりストーリーを語る時間は無いので、何か無いかと検索したら
★第7760回「ミス・マープル中短編 その9、火曜クラブ 四人の容疑者 ストーリー、ネタバレ」
https://ameblo.jp/s-kishodo/entry-11876761500.html
出版社によって、訳者によってか、短編集名と短編名も登場人物名も様々のようだ。
これはしょうがないこと。
ちなみに私の読んだ「ミス・マープルと13の謎」で第一作は「火曜ナイトクラブ」

「四人の容疑者」を読み終えて、ふと考えたこと
実は犯人はいなかった、4人全員が無罪
秘密結社に博士へ嫌がらせの変な手紙を出す力はあったが
実行する人材も資金も無く、殺人事件は起きなかった。
変な手紙が届いた直後の単なる階段転落事故だったけど、
博士も殺される覚悟はしていたこともあったから、
警察は殺人事件として捜査し、迷宮入り事件になった。
そこにミス・マープルが登場……
のちに秘密結社の残党が捕まり、博士宛の謎手紙のことが語られ……
(以下の妄想セリフは追記)
「あの時さ、暗号の手紙が博士に解けなかったら、脅しにもならんだろうという意見が多かった」
「けどさ、暗号マニアで推理小説ファンの上司に押し切られてしまったのよ」
「新聞によると、手紙が届いた頃に、博士は階段から転がり落ちて死んだらしい」
「あの頃、暗殺者を送り込むほどの資金は無く、せいぜい手紙で脅すぐらいしかできなかった」
「だから博士殺害容疑なんて濡れ衣だよ、あの"冤罪"ってヤツだよ」
「博士が"無事"あの暗号を解いたから、殺し屋にビビッて事故につながったのかも知れないけど…」
「そうそう、あの時に、一緒に住んでいた姪宛てに種苗店のカタログを手配した」
「あの上司曰く、暗号のヒントぐらい提供しなかったら、フェアじゃないだろうさ」
「種苗カタログが本人に届いたんじゃ、ヒントにならないとさ。解答も送ったことになるって」
「切れる奴だったけど、頭のイイ奴のやることって判らんよねえー。推理ドラマじゃないんだから」
「普通の脅迫状を繰り返す方が、効果的だったと思うよ、今でも」
「ストレートな脅迫状で充分だったのさ。あの"ストレス"ってヤツでジワジワ追い込む…」
「驚いているようだけど、オレだって、"ストレス"っていう言葉ぐらい知ってるよ」
「ところで、博士、アレ解いたんでしょう?」
(更に追加)
「何!?博士の姪が殺(や)ったってー!?」
「冗談は止してくれ!!身近にいる姪を先に殺って、博士をもっと苦しめてやろうという案があったほどさ」
「姪に暗号ヒントの種苗カタログを送ったのは、上司の指示だったけど」
「"家族は仲良く"が彼の口癖だったから、解けなかったら、責任の一端は姪にあると考えたのかな…」
「こちらとしては、警告はしたから、毒入りの好物を贈ろうと考えていたのさ」
「実際に食うかは別問題。"毒入り"が届いただけで、怯えた生活を送ることになるからね」
「殺し屋の資金はないけど、小包を送るなら安いものさ。何度でも、ジワジワとね」
「まあ、さっさと死んじゃったから、贈る機会は遂に無かったけどさ…」
「もう勘弁してよー、この件じゃ、脅迫状を送ったのとカタログの手配をしただけだからさあ」
「"毒入り"はオレのこの頭の中で想像しただけ。妄想しただけで罪になるの!?」
「考えただけで罪になるのなら、世の中、犯罪者だらけだよ」
「それって、神様の領域でしょ、警察の仕事じゃないよ、違う?」
「他のことも俺は正直に話したし、認めたんだから、いい加減にしてよー」
「俺は動きが軽くって重宝されたけど、大した事はやってないからね」
「謙遜するわけじゃないけど、俺って大それた事ができるほど大物じゃないからねぇ」
「俺の人生って、ずっと下っ端。ご覧の通り正直ものだからね。もうそろそろイイでしょ」
ドイツに住むグレータ嬢も事情聴取で特別参加…語られる別の真実…
こうなるとパロディかな。
グレータ嬢が告発されて有罪になったわけではないのだから、
こんな別解釈、想像も読者の勝手、妄想も自由…

「そしてたぶん、その連中の手にかかってみじめな最後をとげることでしょうねえ。」
このマープルの言葉が、クリスティの描いたグレータ嬢にはふさわしいのだろうけど…
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《12/14追記》
今日は、吉野源三郎「君たちはどう生きるか」(岩波文庫)の返却日だった。
予定通り、次の別訳を借りて来た。
◎アガサ・クリスティ「火曜クラブ」(ハヤカワ文庫―クリスティー文庫/2003年)
訳者あとがきによると、「全面的に訳文に手を入れた」とあるので、
私の読んだ別訳者の1960年訳よりは、読み易くなっているだろうと、
さっそく、話題の「四人の容疑者」を読んだけど、
語り口などがすっきりしているので、やはり読み易かった。
ただやはり呼び名の表記で変なところもあった。
274ページで、姪を指し、2種類が登場している。
「フロイライン・ローゼン」「グレータ・ローゼン」
この「フロイライン」ってのは何!?ミドルネームなの!?何で突然ここに出て来たの!?
ローゼンという人物は博士と姪しか居ないのに、三人目のローゼンなの!?と混乱…
最後の方にミス・マープルが若い時の事を語った部分があって、
そこに「いわゆるフロイラインですわ」という言葉が出て来た。
ひょっとしたらと「フロイライン」を検索したら、
「未婚女性に対する敬称。令嬢。お嬢さん。姓または姓名の前に付ける」(デジタル大辞泉)
紛らわしい「フロイライン・ローゼン」よりは「令嬢ローゼン」として欲しいものだ。
同箇所を創元推理文庫で確認したら「ローゼン嬢」、この訳が普通だと思う。
人物名の表記などで読者を混乱させないで……

創元推理文庫(1960年昭和35年)→ハヤカワ文庫―クリスティー文庫(2003年)
女中→家政婦
続きの第10話からは、新訳のクリスティー文庫版を読むこととしよう。
posted by yumenoya at 03:14| Comment(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする